141ばんどうろ

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ルックバック

学童より創作漫画を始め周りからもチヤホヤされていた藤野だったが、自身より実力が上の存在である京本が現れ、嫉妬から描くことにより没頭するようになる。

学級新聞を通して藤野と京本は切磋琢磨していくが、身の振りを考えた藤野はある日描くことを辞めてしまう。

 


卒業式の日に互いは邂逅を果たすことになるが、その場で藤野は初めて京本が自身のファンであることを知る。京本も藤野に心動かされ部屋の外に出られるようになり、藤野と京本は共に再び漫画への道へ向かうこととなる。

 


賞も得られ漫画家としての名声を積み上げていく二人であったが価値観の相違からそれぞれ別の道を進むことになる。藤野は漫画家へ、京本は山形の芸術工科大学へと進学する。

 


しかし京本は学内で殺害され他界してしまう。京本を絵の道へ進めてしまったことで死んでしまったと藤野は自責の念に駆られるが、京本との在りし日を思い出し、一人理想の道へ歩む。

 


名前からも読み取れるように藤野と京本はそれぞれ藤本タツキ本人である。

学童より漫画の才があった藤野は藤本タツキにとっての理想(に近しい)の姿、対して引きこもり気味であった京本は差し詰め藤本タツキの現実の姿といったところだろう。

 


創作、生みの苦難。漫画家としてやっていくのか、それとも芸術を学んでいきたいのかという進路の葛藤。理想による現実の救済が描かれ、漫画によって生まれた”漫画家”という理想の自分、そして漫画によって死んでしまった暗く引っ込み思案だった現実の自分。現実サイドの自分が亡くなり憂はあるものの理想の漫画家として歩んでいくという藤本タツキの決意の垣間見える。そんな作品であった。

 

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